導入事例
【広島県廿日市市】HOUSAS×HOUSTRAGEで家屋評価業務を一気通貫で管理
広島県廿日市市
面積489.49㎢、人口約11万4,900人。広島県の西部に位置し、瀬戸内海に面した木材の町。 厳島神社および弥山原始林はユネスコの世界遺産にも指定されている。 また、近代のけん玉発祥の地として知られる。 中心部は広島駅からJRで20分、広島市街地への広電電車や山陽自動車道も通り、山口県の岩国錦帯橋空港へのアクセスも良い。 住みやすさや市のブランド評価も高く、「ビジネスパーソンが選ぶ住みよい街2024」、「子育てしやすい自治体ランキング2024」(日経BP)ではいずれも中国・四国地方で第1位に選ばれている。
広島市の西、瀬戸内海に面し、1000mを超える山々と、世界遺産・厳島神社をいただく自然豊かなまち廿日市市は、約30年にわたりNTT-ATエムタックの家屋評価システム「HOUSAS(ハウサス)」を活用してきた“老舗のユーザ”だ。 13年前には家屋台帳ファイリングシステム「HOUSTRAGE(ハウストレージ)」も導入し、家屋評価において紙からデジタルへの取組を先進的に進めてきた自治体でもある。 システム導入は市に何をもたらしたのかを聞いた
家屋評価は学び教え合いながら
廿日市市の課税課家屋係では、新築の家屋評価を中心に、家屋データの管理、それらをもとにした固定資産税の賦課などを担当している。
家屋係の職員は8名。技師1名のほかは行政職となっている。
新築家屋は近年、家屋の形態や資材などのバリエーションも増える一方、古い家屋の評価などもあり、新旧の知識の習得が必須となっている。
そこで、同課では、評価基準に関する一覧表やマニュアルを独自に作成し、職員の誰もが同じ評価ができるような工夫をしている。
「しかし、どうしても現場でなければわからないことが多いし、現場で感じた疑問をフィードバックして解決することも大事。だからOJTが欠かせません」と家屋係専門員の渡邊亮太さんは言う。
自ら学びながら若手と現場を踏み、手探りで指導している。
わがまちの業務にフィットする家屋評価システム
そうした家屋係の業務をサポートしているのが、廿日市市が1998年から採用している「HOUSAS」だ。
台帳管理、調査管理、評価計算など家屋評価業務の一連のプロセスを支援する統合システムで、高性能な図面作成機能なども備えている。
複雑な図面の入力や作図後の修正も簡易にでき、作図内容から壁量などを自動で計算してくれるという実用性が特長だ。
そのため、予め家屋の平面図をHOUSASで作成し、家屋調査に臨むことができる。
現地で記録した間取りなどを方眼紙で作成するというかつての業務と比べると大幅な時短が実現している。
さらに、評価計算などでは、入力の順番など自治体ごとの業務フローに合った柔軟な設定もできる。
「システムが我々の仕事の仕方に合わせてくれるのでストレスがない」と渡邊さんは言う。
江藤純係長も「評価計算書などのチェックがやりやすい」とのこと。帳票自体の見やすさに加え、入力漏れなどがあれば警告が出るので評価計算時のミスがない。
上席のチェック時には、すでに精査されたデータとなっており、基本的な部分の確認が不要となっているとのことだ。
また、HOUSASが約4割の自治体で採用されていることから、県の研修時などに他の自治体職員と活用の仕方について意見交換ができ、業務改善の情報収集ができるのも利点という。
「採用している自治体が増えてきているので、HOUSASは自治体職員の“共通言語”になってきています」(渡邊さん)
合併を契機に家屋台帳の検索・管理システムも導入
廿日市市は2012年、さらに家屋台帳ファイリングシステム「HOUSTRAGE」を導入した。
HOUSTRAGEは、家屋台帳のデータを蓄積することで検索・管理が容易となり、ペーパーレス化、家屋に関する業務の効率化を実現するシステム。
家屋の条件検索、名寄せや別棟検索など多様な機能を搭載しており、紙台帳を探す手間を大幅削減し、保管スペースも要らず、セキュリティも完備している。
廿日市市は、平成の合併時に周辺4町村を編入して拡大してきた。
旧廿日市市以外の町村では紙での台帳管理であったため、当初はデジタルと紙での管理が混在していた。
しかし、紙の台帳では管理が煩雑になったり、探すのも手間がかかる上、劣化もする、何よりも事務的な負担が大きいことから、紙での運用が限界となりHOUSTRAGEを導入。合併が契機となり市のデジタル化が進むことになった。
実際に使用した手応えを渡邊さんに聞くと、「とにかくレスポンスが早い。
モニターでの操作だけで必要な情報が瞬時に得られ、住民などから説明を求められても即時に対応できるところがメリットです」と言う。
実際に7万件ほどの物件を検索したところ、すべての画面表示に2分とかからなかったとのことだ。
その操作性で職員の事務効率化が図れるだけでなく、住民サービスの向上にも効果を実感したという。
このHOUSTRAGEは、情報の蓄積だけでなく、市の基幹系システムと連携できる。
例えば、基幹系システムの家屋課税データをHOUSTRAGEに取り込むことで、最新のデータとその当時のデータの履歴管理が可能となる。
さらに、職員がスキャンした紙台帳(過去の図面や計算書)をPDF形式で添付することで、台帳の文字情報と合わせ図面資料も確認できる。基幹系システムとHOUSTRAGEの連携により「家屋の総合データベース」として活用することで、業務の大幅な改善が見込める。
自治体職員の仕事を熟知したサポート
NTT-ATエムタックのサポートにもきめ細かさを感じていると江藤さんも渡邊さんも口をそろえる。
特に、3年ごとの評価替えの時期には、国が定める固定資産評価基準に当てはまらない市の独自基準をデータや文章としてエムタックへ送ると、依頼の意図を汲み取って設定を修正してもらえる。
評価替えに係る修正を市で行う必要が無いため、評価替年度であっても通常の年度と変わらず業務がスムーズに実施できるという。
また、同社のサポートについて、渡邊さんには印象的なエピソードがある。
ある年、建具の配置や計算に迷い、サポートセンターにメールで問い合わせをしたところ、お盆中にもかかわらず即座に返信をもらったという。
その速さに驚いただけでなく、その内容にも感心した。
「単に計算の仕方や結果を教えてくれただけでなく、なぜそうするのかといったことまで解説を付けて返してくれたんです。私がどこで迷っていたかを解釈して、聞いていないところまで汲み取って教えてくれたのが、とても有難かったですね」
自治体職員には、住民や事業者などにも結果だけでなくその仕組みや根拠を説明しなければならないことも多い。
そうした職員の業務を理解した対応が印象に残ったとのことだ。
「お金では測れない部分に信頼を感じています。だから長いユーザとなっているんだと思いますね」と渡邊さんは語った。
切れ目なく適切に業務を続けていくために
現在、多くの自治体で職員の減少や人事異動サイクルの短縮化が進んでいる。 3年ごとに固定資産評価基準が変わるが、切れ目なく確実な業務を行うために、人材育成は欠かせない。 自治体の要望を先読みした親切丁寧なサポートに加え、業務に沿って視覚的にもわかりやすく設計された“自治体に寄り添うシステム”への期待と需要は今後も高まっていきそうだ。
※出展:月刊「税」2025年8月号(ぎょうせい社) 特集「固定資産税業務における業務改善のイマ」